【D9】被害回復給付金支給制度【詐欺被害の経験談】

先日、D9クラブについて某法律事務所の集団訴訟のことをちらりと書きました。

【詐欺】D9の幹部、南米で逮捕か?

2017.08.04

今回、ふと思い出しD9クラブ被害者の方にお伝えしたいのは私の知人の経験談です。

とは言いましてもD9クラブではなく、「不動産投資詐欺」に巻き込まれたケースでの体験談です。D9クラブでの被害に当てはまるとは言えないものの、D9クラブ被害者の方には詐欺ケースの経験談・知識として知っておいても損はないと思い、今回取り上げてみました。

(今回の記事は知人の体験談と私の所感を、知人に許可を得て記事にしたものであり、この記事があなたの「D9クラブ」被害の解決を保証するものではありません。また、今回の記事であなたに損失が生じても一切保証できませんので、その点重ねてご了承ください。あくまで体験談と所感であることをご理解ください。)

検察庁の被害回復給付金支給制度

詐欺事件で犯人が告訴され身柄を拘束された際に、詐欺犯の資産を拘束し、その資産を被害者に給付金として支給される制度があります。

ただし、D9クラブでの被害に対して、こちらの制度が当てはまるかは分かりません。

あくまで、「不動産投資詐欺」に巻き込まれたケースでの体験談ということをご理解ください。また実際の事件に当たりどのような対応を取るかは専門家や機関に相談し、最善の対応を取る必要がありますことを付け加えてお伝えいたします。

被害回復給付金支給制度(法務省のホームページ)
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-8.html#1

組織的犯罪処罰法の改正により,詐欺罪や高金利受領罪(出資法違反)といった財産犯等の犯罪行為により犯人が得た財産(犯罪被害財産)は,その犯罪が組織的に行われた場合や,犯罪被害財産が偽名の口座に隠匿されるなどいわゆるマネー・ローンダリングが行われた場合には,刑事裁判により犯人からはく奪(没収・追徴)することができることになりました。
このようにして犯人からはく奪した「犯罪被害財産」(※)を金銭化して「給付資金」として保管し,そこからその事件により被害を受けた方などに給付金を支給する制度が「被害回復給付金支給制度」です。

まずはこの制度の存在を念頭に、知人の経験談を聞いてください。

不動産投資詐欺事件の経緯

その知人の許可を得て、その経緯を書いていきます。

物件の問い合わせ~売買契約

もともと、その知人は収益物件の一棟ものを所有したいということで、某有名不動産投資用サイトから気になる物件を見つけ、その物件の売買を扱う不動産業者にメールで連絡を取りました。

その業者はほぼ個人経営のような不動産業者で株式会社、従業員は他数人、その社長が主要な人物で今回は仮にM社長とします。

そのM社長は40代で常に忙しそうにされていて一生懸命、「真面目な業者」のイメージを持ったそうです。まあ、その人物像はともかく、物件の見学を何度か重ねいざ購入ということになりました。

売買契約を不動産業者のオフィスではなく、某地方のファミリーレストランだったということで実はすでに「アウト」ですが、その際は「M社長も忙しいし夜遅いので仕方がない」と思ったそうです。

そうして、重要事項説明と売買契約書を締結し、手付金をその場でM社長に渡し領収書を受領。後は金融機関の融資打診を行っていき、融資が付かない場合特約事項で解約になるという運びでした。

ちなみに手付金については保証制度を利用できる金額ではなかったそうです。

宅地建物取引業者(当協会正会員)が自ら売主となる完成物件の売買について買主から1,000万円又は売買価額の10%を超えて手付金等(申込証拠金・手付金・中間金など代金に充当される金銭)を受領する場合には、手付金等保管制度の対象となります。
http://www.fudousanhosho.or.jp/admission/deposit/

しかし、なかなか金融機関の融資も進まない状態に「不審」に思った知人は、その不動産業者の地域の宅建協会に連絡をしましたが、その時間帯は受付終了と言うことで相談できず、結局本業で忙殺され時間ばかり過ぎていったそうです。

なかなか連絡がつかない不動産業者社長

結局金融機関から連絡があり、今回の融資は厳しいということで物件の購入に至らなかったそうです。そして手付金の返金を要求しようと連絡するも、あいかわらず電話がつながりません。

知人は何度も何度もM社長に電話するも、連絡がつながらなく日にちばかりが過ぎていったそうです。

いよいよ不審を抱いたまま日にちばかりが過ぎていき、やっと連絡がつながっても「いついつに手付金の返金を振りこみます」という口約束があっても全然守られない状態が続きました。

宅建協会に電話で相談

M社長の手付金返金の対応があまりにも雑なので、地域の宅建協会に電話連絡したそうです。

しかし、すでに宅建協会には同様の問い合わせが多数あり、不動産業者の保証枠1,000万円を超えてしまう状態だったそうです。

宅地建物取引をした者等がトラブルに巻き込まれ、苦情の解決事業では解決に至らず、損害の補填を希望する場合に、会員に代わり全宅保証が会員の主たる事務所あたり1,000万円(従たる事務所を有する場は、1事務所ごとに500万円を追加)を上限として金銭(弁済業務保証金、※1)を弁済します。
http://www.hosyo.or.jp/jigyo/bensai.php

警察に相談、苦情申し立て。弁護士に相談。

知人は自分の地域の警察に相談に行き、苦情申し立てを行ったそうで、あくまで「刑事ではなく民事的にお金さえ返金されればよい」と考えたそうです。

特に書類等を記入するということでもなく、今回の経緯を相談し警察に記録してもらいました。

その後、弁護士に相談し、「資産の差押え」を検討したそうです。ただ、弁護士に委任してしまうと経費倒れ(私のD9クラブのケースと同様)になりしかも返金の保証はないということで、個人でどのように動けばよいかを相談し、その後何とか差押えに必要な「債務名義」を取得できたそうです。

詐欺犯の詐欺容疑での身柄拘束、逮捕、裁判、実刑判決

宅建協会や警察の話では、かなりの被害者が出たそうです。

必死に情報収集した結果、弁護士を立てて告訴している被害者もいれば、知人のような事を荒立てずに返金だけを要求する被害者など、様々な対応を被害者が取りそうだと分かったそう。

しかし、知人は驚いておりましたが、「詐欺」を立証するということは相当難しいのだと感じたそうです。なぜなら知人が警察に問い合わせしてから、県警に逮捕されるまでの間じつに長い期間がかかったそうです。

かなり被害者も出ていてM社長の不動産会社も「営業停止」処分になり、警察にもかなりの被害者からの問い合わせがあったそうですが、やはり証拠固めに時間がかかっていたと思われます。

知人はできれば逮捕される前段階での全額返金を望んでいたそうですが、結局その一部の返済を受けたのみで、M社長は実刑判決を受け現在某刑務所に服役中となっています。

被害回復給付金支給制度

その後、たまたま何かを検索時に、今回の「被害回復給付金支給制度」を知ったそうです。

知人の地元の検察庁に電話したところ、犯人地元の検察庁に電話をするようアドバイスされ、「被害回復給付金支給制度」を相談しました。

ただ、残念ながら今回M社長の差し押さえた口座からはほとんど資産が残っておらず、この制度での返金は受けることができなかったそうです。

それにしても、それまで相談した方々はまったく「被害回復給付金支給制度」を教えてくれなかったそうで(聞かなかったためもあると思いますが)、「たまたま」知ったというところに私も驚きました。

そして、「検察庁」と聞き電話するハードルが高そうな感じでしたが、検察庁の担当の方は非常に親切に電話対応してくれたということです。

現在はM社長の親族に返金を請求している(親族に返済の責任はありませんので、あくまで弁済をお願いしている状態)だそうです。

今後はM社長が社会復帰した際に、返金を粘り強くしていく姿勢を取っていくとのことでした。

まとめ

今回の記事のまとめです。

被害回復給付金支給制度の概要
http://www.kensatsu.go.jp/higaikaihuku/index.htm

このようにして犯人からはく奪した「犯罪被害財産」(※)を金銭化して「給付資金」として保管し,そこからその事件により被害を受けた方に給付金を支給する制度が「被害回復給付金支給制度」です。※ 外国の裁判等によりはく奪された「犯罪被害財産」を我が国が譲り受けた場合も同様です。

知人のポイントをまとめると以下になります。

  • 知人は刑事告訴手続きをせず、警察には被害の「苦情申し出」をしたのみ。
  • 知人は弁護士に委任はしていない。ただし、差押に必要な「債務名義」は自力で取得した。
  • 知人は裁判などの手続きをせず、警察で記録してもらったのみの状態。被害者として検察庁に認めてもらえるか不安だったが、「被害回復給付金支給制度」の相談は可能だった。

こちらのホームページで「支給手続き」を行っている事件の一覧もありますので、今後チェックしていく価値があるかもしれません。

被害回復給付金支給制度の概要
http://www.kensatsu.go.jp/higaikaihuku/index.htm

(今回の記事は知人の体験談と私の所感を、知人に許可を得て記事にしたものであり、この記事があなたの「D9クラブ」被害の解決を保証するものではありません。また、今回の記事であなたに損失が生じても一切保証できませんので、その点重ねてご了承ください。あくまで体験談と所感であることをご理解ください。)

重ねて、「不動産投資詐欺」に巻き込まれたケースでの体験談ということをご理解ください。また実際の事件に当たりどのような対応を取るかは専門家や機関に相談し、最善の対応を取る必要がありますことを再度お伝えいたします。

専門用語やその使用方法についてなど間違いもあると思いますが、どうかお許しください。


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